シフトⅠ

シフトⅠ ―世界はクリアを待っている― うえお久光 電撃文庫 2008年6月10日

☆☆☆☆☆☆☆
 一部の若者たちの間で起こる不思議な現象。それは――眠るとRPGのようなファンタジー世界に<シフト>し、もう1つの生活を送るということ。なぜ、このような現象が起こるのか、誰も分かっていない。ただ1つのヒントは<シフト>する際に聞こえる「世界はクリアを待っている」という謎の言葉だけで・・・。
 現実世界とファンタジーの世界。二つの世界を行き来する少年少女たちの物語『シフト』です。元々はハードカバーで出ていた作品とのこと。それでは早速感想。これはとても面白かったですね。
 まず、その世界観が良かったですね。眠るたびに行くファンタジーな世界。そこはまさにゲームのような世界で、レベルがあり、職業があり、スキルがある。個人的にはこのあたりの設定がツボでした。
 また、ストーリーも良かったです。大人が存在しない子供たちだけの世界。だけど、そこは秩序や規律といったものもなく、暴力がまかりとおる場所でもある。そんな場所でラケルやセラが紡ぐ物語はいかにも青春の物語といった感じ印象的でした。特に主人公であるラケルが、この世界では疎まれている怪物系であることもあり、彼の苦悩やセラの気持ちなどがしっかりと描かれていたかと。 
 まとめ。そのファンタジーな設定や、人物の心情にスポットがあたっていた作品。まだまだ続きがあるそうなので、これからの展開がとても楽しみです。