七姫物語4

七姫物語 第四章 夏草編 高野和 電撃文庫 2006年9月25日

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 三宮と戦争状態にあった空澄姫の七宮。他の宮姫たちをも動かした対立が終わり、いま、和睦が結ばれようとしていた。
 自分の役目も一通り終わり、カラスミとしてツヅミの街へと足を下ろした少女は、そこで様々なものを見て、人々と出会い、再会をする。うつろいゆく刻の流れの中で、少女が見て感じたものとは――。
 東和を舞台にした七姫達の物語、その4巻。今回も変わらず面白かった。激動の時代の中でカラスミが見て、感じたこと。それらのことを、どこか温かさをもって読み手に感じさせる。そんな雰囲気がとても心地よいですね。カラスミの視点はなんというか透明感を感じさせます。それはカラスミという少女に嘘のないからなのかなとか思ってみたり。 
 一方で。3巻あたりからカラスミ以外の人物達にもスポットが当てられているように感じるこの作品ですが、そういった登場人物たちもまた魅力的です。特にそれぞれの人物達の掛け合いが印象的で、例を挙げるなら絵描きのエヅと常盤姫の掛け合いや、クロハと黒騎士の掛け合いなどが、個人的には好きですね。
 まとめ。東和という大地を舞台にそれぞれの思惑を抱えて動く宮や人物たちが魅力的な作品。各宮のたち位置もだいたい明確になってきて、これからこの大地を舞台にどういう物語が紡がれるのか、非常に楽しみです。