シャーレンブレン物語

シャーレンブレン物語 見習い従者と銀の姫 柚木空 ルルル文庫 2008年6月4日

見習い従者と銀の姫―シャーレンブレン物語 (ルルル文庫)

見習い従者と銀の姫―シャーレンブレン物語 (ルルル文庫)

☆☆☆☆☆☆
 幼き日に出会ったシャーレンブレンの<癒し姫>。彼女と再会するために神殿医の資格を得て医師見習いになったミナワ。そして、念願叶い大好きな<癒し姫>と再会したミナワだったが、なんと<癒し姫>は男だった!
 ルルル文庫で佳作受賞の『シャーレンブレン物語』です。早速感想。これはなかなか面白かったですね。読みやすくてすらすら読めました。
 メインとなる3人、ミナワ、ユリウス、アレクシオたちののやり取りが楽しかったですね。実は(美しい)男だった<癒し姫>ユリウスと、彼の友人で王国の第3皇子であるアレクシオに振り回されるミナワが読んでいて和みます(笑)。個人的にはアレクシオが好きだったりします。人気のケーキを買うために開店3時間まえからならぶとか、どこまで庶民的なんだろう(笑)。
 とまあ、それはそれとして、序盤はそんな感じで3人の軽めの掛け合いが楽しかったのですが、中盤以降は意外とシリアス展開になっていましたね。ユリウスやアレクシオには色々と思惑があったようです。
 中盤以降のシリアス展開のなかでは、重病者たちを前に医師の卵として出来る限りを尽くそうとするミナワがとても印象的でしたね。その真の強さが格好良かった。また、それに関連して、重苦しい雰囲気の只中にあって、いつもどおりの姿を見せてくれた「彼」の存在も良かったです。
 まとめ。読みやすくて一気に読めた作品。医師の卵として自分に出来ることを一生懸命にやっているミナワが良かったです。続きが出てもおかしくはなさそうなので、次も読んでみたいです。