神様が用意してくれた場所(3)

神様が用意してくれた場所3 いつかの少年 矢崎存美

☆☆☆☆☆☆☆
 香絵がアルバイトとして働いている探偵事務所に不思議な依頼が来た。それは、4年まえに死亡した「息子」の素行調査をお願いするというものだった。社長命令によって、とりあえず話しだけを聞きにいった香絵は、そこで一人の少年と出会う。
 探偵事務所に勤める香絵が遭遇する、ちょっぴり不思議な物語『神様が用意してくれた場所』その3冊目です。
 これはとても面白かったですね。その雰囲気が素敵です。ストーリーは、問題が発生中の2つの家族の事情に香絵が関わっていくというもので、その家族の一組が香絵の同僚である南治さんだったというのが印象的でした。てか、子どもへのメールに真剣に悩む姿がなんとも可愛らしい(?)ですよ(笑)。
 登場人物たちの掛け合いは、思わずクスリと笑ってしまうようなものもあり、読んでいて楽しいですね。その影響か、割と暗いお話になりそうなところも、そうはなっていなかった様子。
 それはそうと、大本のストーリーはとても切なかったですね。特に終盤の父と子の思い出話は、その情景が浮かぶようで思わず泣きそうになりました。そして、そんな切なさを残しつつも、どこか温かい結末がとても素敵でした。これからの展開にも期待です。