カーリー

カーリー 〜黄金の尖塔の国とあひると小公女〜 高殿円

 ――ヴィクトリア王朝時代の面影薫る英国領・14歳だった私は、祖国イギリスを離れやってきた場所で、一人の少女と出会った。その少女はオニキスの瞳に神秘的な雰囲気を纏い、その名をカーリーといった。激動の時代、彼女は私が出会った運命そのものだった――
 う〜ん、これはなかなか堪能させていただきました。内容は実際の史実を背景にしたもので、時代の変動の中、英国領・ドイツの女学院に編入した少女・シャーロットの物語です。 
 で、感想。引っ込み思案なシャーロットがカーリーを始めとした友人達との出会いで成長していく・・・。その過程が良かったです。特にシャーロットとカーリーの交流が良かったですね。その率直な感情表現に読んでいて思わず照れくさくなるくらい(笑)。
 また、この二人以外の登場人物達も魅力的だったり、個性的だったりで良かったですね〜。個人的にはメイドのミモザさんがウケました。
 それにしてもこの作品、割と深く描かれた現実(読者から見ると歴史)問題に対して、シャーロットがとても真剣に考えているといことが新鮮だったりしました。無知だった、もしくは知識を必要としなかった“自分”から卒業した彼女が、これから何を感じ、何を思うのか、とても気になります。
 シリーズモノとのことなので、続きが楽しみです。
 印象に残った台詞(以下反転)―「なにって、ライバルは早めに始末するのよ」―カーリーの台詞。アヒルの子に嫉妬するカーリー。普段は冷静で思慮深い彼女が、シャーロットのことになるとちょっと過激な反応をしちゃうあたり、なんとも可愛いですね(笑)。