黄色い花の紅

黄色い花の紅　アサウラ

黄色い花の紅 (スーパーダッシュ文庫)

☆☆☆☆☆☆
　自衛手段として銃の所持が簡単になった日本。その日、府津羅組組長の娘・紅花の救助を受けた奈美恵達工藤商会は早速現場へと向っていた。激しい銃撃戦の最中。そこで出会ったのは銃弾を受けてもビクともしない仮面の大男。尋常ではないその男と戦い、必死で紅花を守る奈美恵。一方。守られる紅花にも彼女の運命を変えるその時が訪れようとしていた・・・・・・。
　第５回ＳＤ新人大賞受賞作とのことです。で、早速感想。なかなか面白かったですね。
　組の一人娘として大事に育てられた紅花の成長物語といったところでしょうか。主人公の紅花が良かったですね。ある事件により自分の無力を思い知らされた彼女が望んだのは「力」。最初は無表情だった彼女が、初めて感情を向き出しにしたあの場面が結構印象的でした。紅花の一人称がメインだったのも、彼女の心情がダイレクトに伝わってきて良かったです。
　登場人物では紅花を導いてくれる黒田さんもなかなか格好いいですが、なんといっても工藤さんが凄かった。終盤のあの挿絵は反則ですよ（笑）。　
　まとめ。紅花の成長の物語。今までの自分からの脱却を望む彼女の姿が印象的でした。特に、終盤の戦闘が良かったです。強敵に立ち向かっていく紅花がとても熱い。ラストも綺麗にまとまっていて良かったです。