紅牙のルビーウルフ2

紅牙のルビーウルフ2 面影人魚 淡路帆希

☆☆☆☆☆☆
 5つめの神具<全知の書>が見つかった――!その知らせを受けて、ルビーウルフとジェイドは隣国のトライアルに赴いた。そこで待っていたのは<全知の書>の持ち主である銀髪の少女・キアラ=フォレスターだった。多くを語らず、常になにかに怯えているキアラ。そんなキアラに、ルビーウルフは違和感を覚えて・・・・・。
 盗賊少女が活躍する紅牙のルビーウルフ、2巻です。今回も面白かったですね。相変わらずキャラクター達が魅力的です。そんな中 特に印象に残ったのは、ルビーウルフとジェイドの掛け合い。ジェイドに対して、ルビーの感情がほんのちょっぴり変化したようす。微笑ましいです。
 あと、意外に思ったのはトライアル国主・ベルンハルト。前巻の言われようから、傀儡王様ってイメージが先行していたのですが、なかなかどうして 味のある人物じゃないですか(笑)。最後に格好いいところもみせてもらいましたし、この方は案外あなどれませんな〜。結構好きなキャラクターですね。
 ストーリーもなかなか楽しめましたね。何かに怯え、頑なになっているキアラ。そんな彼女にどうにかして話をしてもらおうとルビー達が四苦八苦するといった感じ。キアタの秘密が明らかになってからの終盤。加速していく展開が個人的には好きですね。完全なるハッピーエンドではなくて、どこか哀しさを内包している。そんな感じの展開かと。 
 まとめ。そんなこんなで今回も楽しめました。ただ、今回は国外の出来事だったけど、今度は国内の話を読んでみたいな〜とか思っていたりします。
 印象に残った台詞(以下反転)――「お兄様の腕は一流でしてよ。見た目は地味かもしれませんが、味はうちの料理長に負けず劣らずなのです。ここの飾り付けも、お兄様の手作りなんですよ」――ミレリーナの台詞。兄であり国主であるベルンハルトの手料理を自慢げに話すミレリーナ。なんというか、前巻のミレリーナの態度から誤解していたけど、兄妹で仲いいんですね。このシーンあたりから、この二人の兄妹が好きになり始めたといえるかも。