時の魔法と鳥羽玉の夜

時の魔法と鳥羽玉の夜 在原竹広 電撃文庫 2007年5月25日

時の魔法と烏羽玉の夜 (電撃文庫)

時の魔法と烏羽玉の夜 (電撃文庫)

☆☆☆☆☆☆
 中学生の直日人はある日突然誘拐されてしまった。誘拐したのはトミーとジョニーと名乗る二人組。彼らは直日人のことを『魔術の血』と呼び、それこそが誘拐の理由だと語る。逃げ出すことができない直日人。そんな彼を助けたのは魔法を使う少女・鳥羽玉窈子(ようこ)だった。直日人は彼女に連れられて鳥羽玉家にいくことになり・・・・・・。
 『桜色BUMP』の作者在原竹広先生の新作です。で、早速感想。序盤はちょっと微妙かなーとか感じていたのですが中盤、終盤といくにつれて段々と面白くなってきた、そんな感じの作品でした。
 まず、序盤で微妙かなーと思った理由についてですが、これは窈子の性格のためだったりします。なんというか、あまりにもつっけんどんな窈子の態度に面食らったというか、「これはもしかして昨今はやりのツンデレ狙っているのか」とか疑ってしまったというか、とにかくどうも肌に合わなかった感じでした。もちろん窈子が直日人にそう接するには相応の理由があったわけですが、それでもイマイチ感が抜けなかったです。もしかしたら、これはもう先入観の問題かもしれません。
 それはさておき中盤と終盤の展開はとても良かったですね。特に最大の敵であるあの男が目覚めてからの展開は勢いがあって読む手が進みます。また、実はアレ(以下一応反転――時間もの)だったという展開が意外でした。読み終えてからタイトル見て「ああ、そういえば」と気付かされました。
 まとめ。最後の最後に色々なことが綺麗に収まり「おお、これは上手い」と思わされた作品でした。また、脇役であるトミーとジョニーがなかなかに魅力的でもあったかと。面白かったです。