トキオカシ

トキオカシ 萩原麻里 富士見ミステリー文庫 2006年9月15日

トキオカシ (富士見ミステリー文庫)

トキオカシ (富士見ミステリー文庫)

☆☆☆☆☆☆☆
 幼い頃から異常なまでの記憶力を持つ少年・藤沢誠一。彼はその日、少女と出会う。少女の名前は観池眞名、最近学校で噂になっている双子の転校生の姉だった。二人の出会いは、やがて時の歯車を回していく――。
 いわいるタイムスリップもののお話。で、感想。これはとても面白かったですね。呪いから若返ってしまう「時置師(ときおかし)」の眞名と、その対である誠一の物語。なんというか、まず設定が良かったですね。「時置師」という設定そのものも良かったのですが、なんといってもメイン二人がその「時置師」のなかでも異例であるという点に惹かれました。
 登場人物ではメインの二人が良かったですね。誠一と眞名、出会って間もない二人の掛け合いは見ていて温かい感じです。何気に大人しい少女だと思っていた眞名が、ナイフでしゃきしゃきやったりするお茶目さんだったのはびっくり(笑)。ただ、これも今後何か重たい意味を持っていきそうなので、ちょっと気になりますね。 
 タイムスリップしてからのお話は切なくてほろ苦い感じ。眞名と誠一のやるせない気持ちが伝わってくるようです。
 まとめ。メインの二人のやり取りや、ほろ苦い物語でとても面白かった作品。今回の事件が二人にどんな影響を与えるのか、また、今後どういう展開になるのか、とても楽しみです。