熾天使たちの5分後

熾天使たちの5分後 木ノ歌詠 富士見ミステリー文庫 2005年11月15日

熾天使たちの5分後 (富士見ミステリー文庫)

熾天使たちの5分後 (富士見ミステリー文庫)

 小学4年生の時、春幡知路(はるはた ともみち)は鋼鉄の翼を持つ少女―{熾天使セラフィム)}と出会った。翼もつ彼女は知路を救い、その代償として命を失った。そして4年後・・・中学2年生なった彼のもとに、御守通夜と名乗る少女が現れた。彼女は4年前に彼を救った天使とそっくりな顔をしていて・・・
 あらすじはこんな感じ。で、本題。この作品は結構好きですね〜。熾天使―人の代わりに戦場に立ち、戦う少女型の生体兵器。この熾天使を巡る謎に迫っていくのが主な内容。
 まず、この作品は雰囲気がとても好きです。物語り全体を通して穏やかで、その穏やかな世界にほんの少しだけ波紋を広げる御守通夜の存在が良かったかと。また、家事能力が壊滅的な知路の母と姉がなかなか凄い人たちで、そんな二人に頭があがらない知路がちょっと笑えました。それでもこの母と姉が嫌なキャラにならないのは、その強烈な性格のおかげかも。あと母とモナ母の組み合わせが、個人的には好きだったり(笑)。
 ストーリ展開についても、わりとよくある話っぽいのですが、キャラクター達が魅力的で読んでいくうちにのめりこんでいました。ただ、ちょっとだけ贅沢を言えば、もうすこし知路と通夜との接点を増やしてほしかったかと。
 後半にかけて色々な謎が解けるのですが、その謎が解けた後も、これからどうなっていくのかが気になる作品だと思います。