ゼペットの娘たち

ゼペットの娘たち 三木遊泳 電撃文庫 2008年7月10日

ゼペットの娘たち (電撃文庫)

ゼペットの娘たち (電撃文庫)

☆☆☆☆☆☆
 自分の意思を持つ<機鋼人形>が存在する世界。美しい少女・ハリケーンもそんな<機鋼人形>だった。彼女は自分を作った機鋼人形師サツキと犬型の<機鋼人形>トルネードと共に都会の街マリスへとやってきた。抱えてしまった莫大な借金を返し、ハリケーンに「最高のご主人」ためだった。ところが、ついてそうそうサツキは一文無しになってしまい・・・。
 機鋼人形師の少年と、彼が作った<機鋼人形>たちが紡ぐ物語『ゼペットの娘たち』です。これはなかなか面白かったです。
 まず、なんといってもその雰囲気が良かったですね。終始穏やかというか、まったりしているというか、ともかくのんびりとした気持ちになる、そんな雰囲気だったかと。
 また、登場人物たちも個性的で良かったですね。<機鋼人形>にしか興味がなくちょっぴり変態なサツキ、まだ生まれたばかりでサツキに甘えているハリケーン、3人のなかで実は一番まともな犬型<機鋼人形>トルネードなど、それぞれ魅力的でした。個人的にはハリケーンが好きですね。なんとも純真で可愛らしい(笑)。
 ストーリーは特に大きな事件があったり、なんらかの動きがあることもなく、まったりとした日常といった感じで進んでいきます。なので、この辺で合う合わないがあるかもしれせん。個人的にはとくに問題なく楽しめました。ときおりクスリと笑える要素があったのも良かったです。
 続きもあるみたいなので、これからの展開も期待です。
 印象に残った台詞(以下反転)――「・・・・・・ランディ。すまないけどちょっと来て、扉を開けてくれないかな?」――トルネードの台詞。この少しまえになにやら格好のいい台詞を言い残しさっそうと帰ろうとしたら扉のドアがしまっていて・・・というシーンです。イラストの効果もあってか、ちょっとツボに入ったシーンでした(笑)。