ダーク・バイオレッツ6

ダーク・バイオレッツ6 常世長鳴鳥 三上延 電撃文庫 2003年11月25日

ダーク・バイオレッツ〈6〉常世長鳴鳥(電撃文庫 (0863))

ダーク・バイオレッツ〈6〉常世長鳴鳥(電撃文庫 (0863))

☆☆☆☆☆☆☆
 学園祭の最中に起こった集団失踪事件。あれから2ヶ月が立っていた。いまだ、解明を見ぬ事件。そんな折、失踪した高校生の一人が発見された。しかし、その高校生には食いちぎられたような傷跡が無数にあって・・・・。明良はそれらの事件を調査しながら、どこかにいるはずの4人目の「紫の者」について考えていた。一方、柊美のことを聞いて回っている刑事がいることを知って――。
 終焉へと向っていくダーク・バイオレッツ6巻。今回もとても面白かったです。
 まずなにより何といっても柊美が印象的でした。自身が最悪の状況にいるにも関わらず、明良のことだけを思う。むしろ彼女にはもう明良しか見えていないのかもしれない。そんな姿がとても切ないです。
 また、一方で彼女の母親のことも印象的でした。子供がなにかを隠している(しかも、それはとても危険なこと)というのは、きっと凄く辛いものなんだろうな〜と思ったり。余談ですが、この作品って(常世に対して)無力である大人という視点がちょこちょこと出ているように思います。それが、結構心に残っています。
 まとめ。色々と大事になっていく事態。追い詰められていく明良達。と、常に目をはなせない展開で最後まで一気に読めました。もう後は、最後まで一気にいくしかありません。
 印象に残った台詞(以下反転)――「・・・・・・守るって、約束したんだけどな」――明良の台詞。なんというか、この台詞に秘められている明良の感情が想像できて、なんともいえない気持ちになりました。