断章のグリムⅥ

断章のグリム 〜赤ずきん・下〜 甲田学人 電撃文庫 2007年12月25日

☆☆☆☆☆☆☆
 泡禍の解決の為に派遣された蒼衣たち。ところが着いた先のロッジは内部分裂状態で結局必要な情報は得られなかった。そして、そんな人間の思惑を嘲笑うかのように悪夢は進行していく・・・・・・。
 はい。そういわけで『断章のグリム』6冊目にして上下巻の下巻です。こちらも面白かったですね。あの続きからどうなっていくのかとドキドキしながら読めました。
 まず思ったのは蒼衣。雪乃がああなったからてっきりもっと激しく怒るのかとおもったら意外と冷静でした。まあ、蒼衣があの人物に怒りを向けていたら話がもっとややこしくなりそうですが。
 次に思ったのは現地のロッジにおける世話役である笑美さん。なんというか行動が意外だったな、と。世話役というと神狩屋みたいなイメージがあったから、余計に意外に感じたのかも。てか、この人、普通に怖いような・・・。もう1人思ったのは颯姫の妹・瑞姫。終盤明らかになる彼女の心情が哀しすぎです。
 ストーリーも良かったですね。少しずつ「赤ずきん」を彷彿とさせる悪夢が進行していくなかで、色々なことが明らかになっていく展開が、読んでいて飽きません。また、童話の解釈も面白かったです。
 そして、なんともいえない後味の悪さを残すラストが印象的でした(悪い意味ではなく)。そんな中で、あの人物が今後も関わってくるのか、とても気になります。
 そんな感じで、今後も楽しみです。