断章のグリムⅤ

断章のグリムⅤ 〜赤ずきん・上〜 甲田学人 電撃文庫 2007年7月25日

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 新たな悪夢が始まった。<泡禍>解決要請を受けた蒼衣と雪乃は、女子中学生が失踪した事件を追うために現場の街へとやってきた。ところが、着いた先の<ロッジ>で待っていたのは雪乃に敵意をむき出しにした少年・勇路と、雪乃たちの仲間の1人である颯姫の妹・瑞姫だった。何かを知っているはずの勇路から情報を得ることが出来なかった青衣たちは何の情報もないまま街に出るが・・・・・・。
 今回も上下巻での登場「断章のグリム」その5冊目です。で、早速感想。相変わらずとても面白かったです。今回のモチーフは『赤ずきん』とのこと。
 今回も、いつもどおりのジワジワくる恐怖は健在でしたね。どこか焦らされているようなドキドキ感があります。で、そんな中でいつもと少し違った雰囲気を出していたのが勇路の存在ですね。中学生というだけで騎士として認められない彼が、蒼衣たちの強力を拒んで自分(と瑞姫)だけで事件を解決しようとする姿が印象的ですね。なんというかこの作品にしては普通っぽい性格で、逆に新鮮な感じ。
 ストーリーも良かったですね。上巻ということでまだまだ核心には遠い感じですが、この事件がどんな決着をみせるのか非情に気になります。また、個人的には、終盤のアノ展開(以下反転――雪乃と勇路の対峙と雪乃の負傷)から蒼衣がどういう反応を見せるのかも気になるところ。なんにせよ続きが楽しみです。