ヴァーテックテイルズ

ヴァーテックテイルズ 麗しのシャーロットに捧ぐ 尾関修一

☆☆☆☆☆☆
 その家でメイドを始めてから5年。シャーロットは日増しに大きくなっていく主人――人形作家のフレデリックへの思いを隠しながら生活していた。自分の思いはフレデリックへと届くはずがない。なぜならフレデリックにはすでに愛すべき妻―ミリアムがいるのだから・・・。ところが、シャーロットはいまだにミリアムの顔を知らなかった。ミリアムは部屋に閉じこもり一度も姿を見せたことがないのだった。好奇心に駆られてミリアムの部屋へと入ったシャーロット。そこで見たものは――。
 第6回富士見ヤングミステリー大賞にて佳作を受賞した作品です。とある屋敷を舞台にメイドのシャーロットが知ってしまった主である人形作家とその妻ミリアムの秘密、そして・・・、といった感じのお話かと。なかなか面白かったです。 
 これは巧いですね。少しずつ情報を与えられてそれを考えながら読んでいたら、いつのまにか作品引きこまれていた、そんな感じかと。シャーロットじゃないけど、まさにこちらの好奇心が刺激されて一気に読めた作品でした。
 何を書いてもネタバレになりそうなので深くは書きませんが、色々と混乱させられつつも最後に明らかになる事実に「おお、なるほどそうだったのか〜」と驚かされました。面白かったです。