烏龍荘の今日も眠たい住人たち

烏龍荘の今日も眠たい住人たち 壁井ユカコ 

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 ようこそ゜ホテル・ウィリアムズチャイルドバード′へ――。そのホテルには普通の社会に馴染めない ちょっと変わった人々が住んでいた。妄想癖の美女、ゴスロリの小学生、そして猫のきぐるみ――。これはそんな一風変わった人達が過ごすちょっとおかしくて、だけどフツーな日常の物語。
 『キーリ』で有名な壁井ユカコ先生の新シリーズです。で、感想。これはなかなか面白かったですね。4つの短編から成るお話で烏龍荘のちょっと変わった人達の生活が描かれています。以下それぞれ簡単に。
 「さよなら、泣き虫ポストマン」・・・第1話からいきなり別れのお話っていうのは結構凄いような気がしたり(笑)。高校を中退した少女キズナと、そんなキズナをモデルに絵を描く画家浅井、そして烏龍荘のポストマンとして働いているジョナサンのお話。烏龍荘の住人の変人ぶりを披露しつつ、ジョナサンのことがメインで進んでいくお話。なかなか切ないお話だったかと。
 「ストリート・ブレイブ・ガール」・・・キズナが浅井のモデルになる前のお話。キズナの心情が印象的でした。やめなくてはいけない、だけどやめられない。泥沼にはまっていくっていう感じは結構どこにでも転がっていそうですね。そんなこと感じたりしました。
 「パパはわたしだけのHERO」・・・きぐるみです(笑)。きぐるみパパとその娘、小学3年生 華乃子のお話。きぐるみパパの行動が楽しいですね。でも、ストーリーは普通にいいお話って感じかと。ラストが印象的でした。
 「籠の中の羽根のない鳥」・・・キズナと浅井がメインのお話。浅井の過去が明らかになります。個人的には浅井のイトコである由起の言動が印象的でした。
 まとめ。全体的に淡々としているのだけど、不思議と温かい。そんなお話だったかと。続きも考えられているようなので、次にも期待です。