オイレン・シュピーゲル2

オイレン・シュピーゲル弐 FRAGILE!!/壊れもの注意!! 冲方丁

☆☆☆☆☆☆
 あらゆるテロや犯罪が渦巻く混沌の街ミリオポリス。この街に、ロシアの原子炉衛星<アンタレス>が墜落した。今回の事件に関わっているのは7つテログループ。事件を解決すべく、ケルベロス小隊はそれぞれの場所で行動を開始する。
 「オイレンシュピーゲル」2冊目。面白かったですね。今回は前巻と違って長編ということでスケールが大きくなっていたかと。 
 今回印象的だったのは、涼月、陽炎、夕霧の3人が別行動をとることになった事ですね。そのため普段とは違った3人の側面が垣間見れます。恐怖を抱きながら必死に行動する涼月や、なんか普通の恋する乙女に見えなくもない陽炎もよかったのですが、何より印象的だったのは夕霧ですね。普段の言動から、あまり物事を深く考えていないイメージがあるのですが、そんな彼女なりに他のメンバーのことを思っていることが伝わってきました。また、終盤で見せた行動(力)にビックリしました。
 他には、ストーリーも良かったですね。次々に変化する状況で、どんどん物語にのめり込んでいったかと。特に、勢いのある終盤が印象的でした。
 それと、物語の所々で「スプライトシュピーゲル」の彼女たちが登場するのが嬉しいですね。まさに同じように戦っているんだな、という感じがなんだか素敵です。
 まとめ。別行動となる3人がそれぞれの場所で、色々なことを考えて行動するのが印象的だった作品。面白かったので続きにも期待です。
 印象に残った台詞(以下反転)――「MPBの夕霧隊員は、色んなことがあって、もしかするとちょっと怒ってまーす♪」――夕霧の台詞。彼女特有の言い回しで怒りを訴えている場面です。なんていうか、この少し前の彼女の行動もあってか、すごく印象に残った台詞でした。