オイレン・シュピーゲル３

オイレン・シュピーゲル参　Ｂlue Murder　冲方丁

オイレンシュピーゲル 参 Blue Murder (3) (角川スニーカー文庫 200-3)

☆☆☆☆☆☆
　国際都市ミリオポリス。その治安を守る警察組織ＭＰＢに属する３人の少女、涼月、陽炎、夕霧。彼らは日夜、街を守るために戦っていた。そんなある時、自分たちに初出撃時の記憶がないことに、あたらめて疑問を抱いた涼月は・・・。
　「オイレンシュピーゲル」の３冊目です。今回は同じように３冊目の「スプライトシュピーゲル」が長編なのに対し、こちらは短編という形を取っています。３話構成でそれぞれ涼月、陽炎、夕霧の３人がメインの話が１話ずつといった感じかと。また、短編といってもまったく別物というわけでなく、下地になっているテーマのようなものが見え隠れしていたかと。と、それはそうと早速感想を。なかなか面白かったですね。以下、それぞれ簡単に。
　「Like Blue Murder」・・・涼月がメインのお話。本来安全圏にいるはずの吹雪に危険が及び、それに対して涼月は・・・といった感じのお話。いろいろと恵まれた（少なくとも涼月にとってはそうみえる）吹雪に対して、涼月が抱いている複雑な感情が印象的でした。
　「Scarlet Ob-La-Da」・・・陽炎が主役な話。なんといってもミハエル中隊長を前にしたときの恋する乙女ぶりが素敵です。また、銃を手に疾走しまくるストーリーも良かったです。
　「Holy Week Rainbow」・・・上の２話での伏線を幾つか明らかにしつつ、夕霧がメインだったお話。なんだか夕霧が普通の女の子に見えた（ような気がする）お話だったかと。何気にこの終わり方からすると、あの「彼」の存在はこれからも重要になっていきそうな予感です・・・。
　まとめ。「スプライトシュピーゲル」の人達がちょこっと登場したりしつつ、メインの３人の心情が深く描かれていた作品。色々と気になる要素もあるので、続きがとても楽しみです。