黄昏の刻

黄昏の刻 しろがねの転校生 吉村夜 富士見ファンタジア文庫 2004年11月25日

 稀人。彼等は終戦の折、長い沈黙を破り歴史の表舞台に登場した。彼等は、普通の人間・名子人(なごびと)にはない超能力を持っていた。少数な稀人と圧倒的大多数の名子人が共存する世界。これはそんな世界で生きる少年・少女達の物語。 
 これは普通に楽しめました。稀人の集う学校(軍事学校)に通う少年少女達のお話です。あとがきによると学園超能力ものとのことです。
 それはそうと感想。まず、キャラクターは檜山夕姫が良かったです。突然転校してきた生き別れの兄・銀嶺(ぎんれい)と再会。その内心の感情が印象的でした。その兄・銀嶺も結構好きかも。最強クラスの力をもっているけど、病気というハンデを背負っているあたりがバランス的に好印象。その性格も結構好きです。
 超能力を使った戦闘も格好よくて好きなのですが、登場人物たちの心情にもスポットが当てられているのがすごく印象的でした。稀人として超能力をもっているけど、現代人(名子人)には科学という力があって、自分達の超能力もいずれ科学に負けるのではないかという不安。種として、弱い位置に立たされているという不条理さ。そんな心情が印象的でした。 
 とにもかくにも銀嶺と夕姫の二人が好きですね。特に夕姫が銀嶺に抱いている淡い感情。それが今後どうなるのか、非常に楽しみです。