黄昏の刻3

黄昏の刻 赤熱の巨竜 吉村夜 富士見ファンタジア文庫 2005年9月25日

黄昏の刻3 赤熱の巨竜 (富士見ファンタジア文庫)

黄昏の刻3 赤熱の巨竜 (富士見ファンタジア文庫)

 光輪学園クリスマス祭・・・それは恋人がいない者は異性との出会いを得るチャンスであり、すでにパートナーのいる者はお互いの仲を深めるための外出が許される学園最大の年中行事である。しかし、そんな楽しいはずのクリスマス祭は、米軍との軍事演習によって台無しになる。不満を抱えつつも臨戦態勢を整える生徒たちだったが、相対する米軍の最新式戦車が実弾を撃ってきたことにより事態は一変する。一方、夕姫と一緒に外で楽しく過ごす予定だった銀嶺もまた、演習の知らせを受け学園へと取って返す。
 黄昏の刻、第三巻です。今回は学園行事クリスマス祭で起こる突然の演習と、さらに起こる不測の事態発生といった感じの内容かと。
 で、感想。いや〜、面白かったですね。事態が変化する前(演習前)の夕姫たち3A1 の面々のやり取りが楽しかったですね。相変わらず夕姫のお兄ちゃん大好きぶりは楽しかったし、銀嶺は銀嶺で普段のちょっと軽めな印象と、その内心で抱えている暗い影とか悲壮な覚悟みたいなのとのギャップが印象的でした。個人的には公園での二人の掛け合いが好きだったりします。なんというか、無邪気な銀嶺が微妙に切なく感じたり。あと、なんだかんだで百地と美紅のやり取りが好きだったりします(笑)。 
 ストーリーについて。前回がスパイの特殊能力を活用した追跡戦だとすると、今回はガチンコ勝負といった感じで直接的な戦闘がメインかと。エレキネスとか、テレパシーによるジャミングとか超能力をバシバシ使っての戦闘は、やっぱり楽しいですね。場面場面を想像してワクワクしながら読めました。
 少しずつ、稀人達にとっての「黄昏の時代」が現実味を帯びてきているかと。名子人によって居場所が段々となくなっていく稀人。今後どういう展開になるのか、楽しみです。
 印象に残った台詞・文(以下反転)――伊草はこの時知った。恋する乙女は無敵なのだ。――なんか凄くツボに入った(笑)。あの伊草がそれを思った瞬間を想像したら、なぜか笑いが込み上げてきました(笑)。