黄昏の刻2

黄昏の刻2 七色の刺客 吉村夜 富士見ファンタジア文庫 2005年5月25日

 「檜山君、君も寮を引き払い、職員用宿舎へ移ってもらう。本日より兄と同室するように」――突然言い渡された兄・銀嶺との同棲命令に夕姫は仰天する。だけど、その内心では不安と同時に何かを期待していたりもする。しかし、そんな浮ついた気分も吹っ飛んでしまう事件が起きた。兄・銀嶺の持つ最高機密が『連盟』のスパイに奪われのだ――。
 黄昏の刻、2巻です。今回も普通に面白かったですね。ただ、ちょっとだけ物足りない気もしました。
 まず思うのは、夕姫ことヒメの感情。大好きなお兄ちゃん。だけど自分達は兄妹で・・・。銀嶺は自分の事をどうおもっているのか。そんな風に気にしている時に突然の同棲命令で、動揺しまくりの夕姫がなんとも可愛らしいですね(笑)。ただ、物語が動き出してから(スパイが動いてから)はちょっと見せ場がなくなっているというか、ちょっと可愛そうな立ち位置というか。まあ、このあたりは今後の展開に期待です。
 ストーリーについて。スパイの特殊能力が上手く活きていました。上手い具合に思考の抜け穴を狙って行動するスパイに完全に翻弄されてました。
 あと、個人的に九十九さんが好きですね。努力と野望の人いった感じ。天才ではない自分。ならば天才との差を努力で埋めればいい。だけど、天才ではないと超えられない壁があることに気づいてしまって・・・。そういうコンプレックスを抱いているけど、最後には自分なりの答えを見つけだす。この方の今後の活躍にも期待です。
 結局今回も銀嶺の持つ「最高機密」は秘密のままの様子。それはそうと、これからの展開(特に夕姫関連)がとても気になります。