黄昏の刻5

黄昏の刻5 黄金の旅路 吉村夜 富士見ファンタジア文庫 2006年9月25日

☆☆☆☆☆☆☆
 それはすべて一人の老人によって仕組まれていたことだった。<連盟>と<協会>の抗争。爆発的に膨れ上がる稀人排斥の気運。そして、今、仕組まれた罠は大局を迎えようとしていた。米、中、露の3国による日本侵攻。その脅威的な戦力の前に稀人たちは追い詰められいった。しかし。しかしまだ戦う意思を残した者たちがいた。彼等は己の全てを振り絞り最後の戦いへとその身を投じていく。
 黄昏の刻、5巻にして最終巻です。いや、これは面白かったですね。稀人たちが、驚異的な戦力によって次々と数を減らし追い詰められていく様は見ていて圧倒されます。これでもかってくらいに容赦のない現実が突きつけられて絶望の淵へと転がりこんでいく。そんな感じがあったかと。
 しかし。だからこそ彼等が腹を決めた時、その潔さがとても熱い。特に終盤はまさに命をかけた総力戦といった感じで、読んでいて胸が震えました。
 そして、迎えるラスト。これは結構賛否両論わかれそうな展開でしたが、個人的にはこういった終わりかたも好きですね。読了後になんともいえない感慨に浸れる作品だったかと。とても面白かったです。