黄昏の刻4

黄昏の刻 漆黒の戦慄 吉村夜 富士見ファンタジア文庫 2006年2月25日

 正月。それは銀嶺たちにとって少ない休日。しかしその休日にこのニュースは流れた。それはアメリカで<稀人>排斥を目的とした「対テロ防止法案」が提出されたというニュースだった。このニュースを皮切りに世界各国では稀人排斥の動きが強くなっていく。そしてその影響は最も稀人口が多い日本においても表れ始めていた。一方『連盟』の赤目は、己の思惑を抱え準備を整えていく。
 黄昏の刻第4巻。自分達の排斥を決める会議を守ることになってしまった銀嶺たちのお話です。いや〜面白かった。というか衝撃的だった。まさかそういう展開になるとは。
 それはともかく感想。序盤の銀嶺と夕姫の掛け合いが良かった。兄妹という垣根を越えて、急接近する二人がなんとも印象的でした。
 あと、「対テロ防止法案」が提出されてからの稀人達の反応が丁寧に描かれているな〜思ったりも。また、理不尽に相対したとしても武力を行使することを嫌い、平和的な解決方法を求めている銀嶺がなんとも良かった。実に冷静に物事を捉えている銀嶺、格好いいですね。阿修羅と対峙したときの口上も良かったです。
 まとめ。今回は敵方の赤目があまりにも用意周到で、夕姫たちはどんどん追い詰められてほとんど救いのない状態で終わっています。さらに衝撃の展開も発生したので、今後どうなるのか非常に気になります。
 印象に残った台詞(以下反転)――「終わりなら、こちらも謳わせてもらおう」――銀嶺の台詞。阿修羅の口上戦法を受けて、銀嶺が放った言葉です。誰もが阿修羅の口上に気力を失っていたのに、平然と前にでる銀嶺、なんとも格好いいです。