黄昏色の詠使いⅡ

黄昏色の詠使いⅡ 奏でる少女の道行きは 細音啓 富士見ファンタジア文庫 2007年5月25日

☆☆☆☆☆
 夏期補講。本来なら学園内で行われるはずのそれは、急きょ予定を変更して分校で行われることとなる。それは前回の事件の影響だった。急に決まった旅行のような補講に心躍る生徒たち。一方。教師であるエンネ、ゼッセルの2人はとある研究所を訪れていた。その場所とは、先の事件の発端となった孵石(エッグ)を精製していたケルベルク研究所支部だった。中に入った2人がそこで見たものは――。
 黄昏色の詠使い、その2冊目です。今回も面白かったですね。相変わらず雰囲気が素敵です。 
 こんかいの主役はなんといってもエイダ。幼少時から名詠士の対極である祓名民(ジルシエ)として英才教育を受けたエイダ。そんな彼女が抱えていた悩み。槍の使い手として一流であり、どこか凛とした印象を抱かせる彼女が、実は一番恐れていたことがアレだったというのはなかなか印象的でした。また、そんなエイダを見守っていた彼女の存在も良かったですね。欲を言えばもうすこしそれらしいところを見せてほしかったというのはありますが、なかなか素敵な友情の形だったかと。
 一方、クルーエルも自身の力について悩んでいた様子。そんな彼女とネイトとの掛け合いが良かったですね。この2人のやり取りは呼んでいて楽しいです。
 まとめ。作品の雰囲気やキャラクター達のやり取りが楽しい作品。ただ。1巻で深く扱われなかったキャラが今回大勢出ていて、その点でちょっととまどったりもしました。とはいえ、楽しかったことに変わりないので、続きも楽しみです。