狼と香辛料 支倉凍砂

狼と香辛料 支倉凍砂

狼と香辛料 (電撃文庫)

狼と香辛料 (電撃文庫)

 25歳の青年ロレンスは、行商人として各地を巡っている。独り立ちして7年、行商人としての日常を過ごしてきた彼は、その夜自分の荷馬車で、麦に埋もれて眠る少女を発見する。しかもその少女は狼の耳と尻尾をもっていた。驚くロレンスに少女は自分は豊穣を司る神・ホロであると名乗った。それが行商人ロレンスと狼の化身ホロの奇妙な旅の始まりだった。
 う〜ん、これは面白いですね〜。なんといってもロレンスとホロが良かった。行商人であるゆえの孤独を感じていたロレンスに、突然現れたホロ。彼らの心の触れ合いが最大の魅力かと。また、老獪な一面をもちながら、時に幼い子供の顔を覗かせる、そんなホロが良かったですね〜。
 ストーリについて。行商人という設定からも分かるように、結構珍しいタイプのお話。ストーリにもいかに利益をあげるかとか、どうやって損をしないかとか、いかにも商人って感じな話が出てきて新鮮でした。 
 マトメ。ロレンスとホロの交流がとても良かった作品。読んでいて心地良いと感じるお話でした。ぜひとも続きを読んでみたいですね〜。
 印象に残った台詞(以下反転)―「林檎・・・・・・食べ・・・・・・たいん・・・・・・じゃが・・・・・・」―ホロの台詞。林檎を食べたい、けれどそれを素直にいえないホロ。それを知っていながらからかうロレンス。このあたりのシーン、結構好きですね〜。いつもしてやられているロレンスのささやかな逆襲って感じかと(笑)。ちなみにこの後のロレンスの「人の気持ちが手にとるようにわかるというのは良い気分だな」という台詞も密かにヒットしていたり。