狼と香辛料2

狼と香辛料Ⅱ 支倉凍砂

狼と香辛料 (2) (電撃文庫)

狼と香辛料 (2) (電撃文庫)

☆☆☆☆☆☆☆
 行商人・ロレンスと狼神・ホロ。二人の旅は続いていた。港町パッツィオで儲けた胡椒を武具に換えて、より大きな利益を得ようと考えるロレンス。商売は順調。しかし、教会都市リュビンハイゲンに着いたとき、状況は一変することになる。―――嵌められた。そう思ったときにはすでに手遅れだった。ロレンスは商人として、窮地に立たされてしまう。
 賢狼ホロとロレンスの物語、2巻目。今回も面白かったです。この作品、やっぱりロレンスとホロの交流が最高ですね。何気ない会話シーンがすごく好きです。
 窮地に立たされ破産寸前にまで追い詰められてからの展開も良かったですね。特に終盤に差し掛かるあたりのあのシーン(おそらくこの作品の最大の見せ場)が良かった。いつもは素直じゃなくて、言葉で飾り、隠していた本音。だけどそのシーンでは本音をさらけだす。それがほんとに印象的でした。あと終盤のロレンスとホロの合流シーン。ホロのズボンの膝についた汚れ。その意味とホロの台詞が強烈で、胸に込み上げてくるものがありました。
 25歳のロレンスについて。主人公が25歳っていうのは、電撃文庫じゃ結構めずらしんじゃないだろうか。そんな大人なロレンスと、同じく大人であるホロ。大人同士の旅だからこその雰囲気みたいのが、この作品には漂っているように感じました。
 まとめ。商売に失敗してどん底に落とされるロレンス。その状態からどうにかして立ち直っていくお話。ホロとの交流や、どん底から這い上がっていく展開が見所かと。
 印象に残った台詞(以下反転・割と重要部分の台詞です)――「それでも、あそこは言ってほしかった。じゃから、もう一度じゃ」――ホロの台詞。なんというか、これにはやられた(笑)。詳しくは書きませんが、普段では見せないホロの姿に胸打たれました。