狼と香辛料3

狼と香辛料Ⅲ 支倉凍砂

狼と香辛料 (3) (電撃文庫)

狼と香辛料 (3) (電撃文庫)

☆☆☆☆☆☆☆
 不思議な縁から共に旅をするようになった商人ロレンスと狼神ホロ。二人は大市と祭りで賑わう町クメルスンにやってきていた。そこで出会ったのは魚商人のアマーティ。ホロに一目ぼれしたアマーティは、やがてロレンスに対し、ホロをかけた契約を持ちかける。一方、些細なすれ違いからロレンスとホロにの間にズレが生じはじめ・・・・・・。
 行商人ロレンスと狼神ホロの物語、その3冊目。今回もとても面白かったです。今回はより二人の関係について深く突っ込んだお話かと。 
 相変わらず二人の掛け合いは楽しいですね。特に序盤。ロレンスも多少はホロに言い返せるようになったものも、やっぱりホロには敵わない。ホロのころころ変わる表情とか、ロレンスのタジタジ感みたのが想像できてとても楽しいです(笑)。
 で、そんな序盤が過ぎて話が動き出し中盤、終盤と展開していくわけですが、これがまたとても面白い。特にホロのことで思い悩むロレンスが印象的です。大丈夫だという思いとは裏腹に、大きくなる不安。そしてそんな不安を煽るような現実。そんななか、ロレンスが取った行動。これからどうなってしまうのかとドキドキしながら読み進められました。
 まとめ。序盤の心地よい展開に加え、中盤、終盤の緊張感のある展開で、最後まで飽きることなく読めた作品。ついついホロとロレンスばかりに目がいってしまいますが、他の脇役達もなかなか魅力的ですね。今後とも続きが楽しみな作品です。
 印象に残った台詞(以下反転)――「まったく。そんなに可愛くてはわっちの立場がありんせん」――ホロの台詞。詳しくは書きませんが、とても印象に残った台詞です。思わず自身の匂いを嗅いでみるロレンスと、そんなロレンスを見ながら笑っているホロ。そんな情景が目に浮かぶようです。