影≒光3

影≒光 シャドウ・ライト 陰陽編 影名浅海 スパーダッシュ文庫 2006年7月30日

☆☆☆☆☆☆
 星乃宮御影は難敵を前にしていた。相手は、御影が最も不得手とするもの――勉強だった。来週に迫ったテスト向けて猛勉強をする御影。そんな御影の元に、母から連絡が入った。それは、同じ退魔家系『祷岡』が何ものかによって滅ぼされたという知らせだった。御影は依頼を受けて、『祷岡』の請け負っていた退魔の代行と犯人探しを開始した。仕事の途中、御影は一人の少年と合流した。彼の名は紀詠狭霧(さぎり)、今回の事件を起こした犯人の弟であった。
 光≒影3巻。今回は、日本が舞台で御影が主役なお話です。で、感想。今回も普通に面白かった。序盤は事件の発端である紀詠家での出来事が中心で、力を信望する長兄・時雨、その兄を越えた力を持っているがそれを隠し続けていた狭霧、そして一番下の妹・紅霞。この3人の関係が分かりやすく描かれていたかと。
 そして中盤、終盤と展開していくわけですが、やっぱりこの巻の主役だけあって御影が良かった。御影が貫き通そうとする「星乃宮の理念(以下反転――簡単に言うと殺さずの理念)」は、兄を討とうとする狭霧にとってはそう易々と受け入れられるものではなかった。だけど、それでも 一生懸命に狭霧を説得しようとアレコレ行動を起こす御影が、なんとも印象的でした。御影のしていることは、言ってしまえば「自分の理念」の押し付けなのだけど、一方的に押し付けるだけでなく相手のことを考えているからこそ、説得力をもつものなんだろうなと感じました。 
 それはそうと、相変わらずの弟大好きっぷりを発揮している御影が見ていて楽しい(笑)。かと思っていたら、光輝は光輝でなかなか面白いことになっていてびっくりです。(以下一応反転――御影に近づく謎の男(狭霧)の存在に動揺しまくる光輝が笑いを誘います。)
 まとめ。巻を重ねるごとに面白くなっているように感じた作品。個人的には、御影が計画中の夏休みの予定が凄く気になります(笑)。なので、続きも期待です。
 印象に残った台詞(以下反転)―「―前略―私もね、光輝のこと大好きだよ。世界で一番愛してる」――光輝とのチャネリングでの御影の台詞。もう なんていうか、ここまで率直に言える偉大なお姉様に感服です(笑)。