鳥は鳥であるために4

鳥は鳥であるために4 野島けんじ MF文庫J 2005年7月31日

☆☆☆☆☆☆
 ――水星定國。それは水星小鳩にとって絶対的な存在で抗えないものであった。自分は水星家を守るために存在している。そんな脅迫にも似た思いから、小鳩は「呪」を受け入れていた。一方、志朗たちはどうにかして小鳩の「呪」を浄化する方法がないかと探していた。
 鳥は鳥であるために、その4冊目にして最終巻です。これはなかなか面白かったです。 
 まず序盤で小鳩の過去が明らかになります。これがなかなか印象的ですね。小鳩の祖父である定國がいかに小鳩にとって絶対的なのかが分かります。そして、そんな状況だからこそ兄・倭の存在がどれほど大きいものであったのかも・・・。
 また、小鳩とメイドの夕香との出会いも良かったですね。兄が全てであった小鳩の世界へ、突然入ってきた夕香。他のメイドたちと違った接し方をしてくる夕香に戸惑う小鳩。とりわけ『シンデレラ・リバティー』を読んでいるシーンが良かった。小鳩が感じたある種の感動がこちらにも伝わってくるようです。
 まとめ。全体的にちょっと意外というか・・・少し唐突だったような感もありますが、それでも勢いがあってよかったですね。小鳩の心情が丁寧に描かれていたかと。終わり方も綺麗な感じでよかったです。
 印象に残った台詞?(以下反転)――「はい、デラックス・デリシャス・デンジャラスパフェ、略して3Dパフェです」――女性店員の台詞。台詞が印象に残ったというよりはこのパフェを見たむぅちぃの反応が印象的でした。イラストがいい感じです(笑)。