鳥は鳥であるために3

鳥は鳥であるために3 野島けんじ MF文庫J 2005年4月30日

☆☆☆☆☆☆
 ある日、菓(このみ)のクラスに転校生がやってきた。転校生の名前は唐穂(からほ)。菓はさっそく唐穂と仲良くなろうとするが拒絶されてしまう。クラスメイトとの折り合いも悪く学級委員の美沙と言い争いをしてしまう唐穂。そしてその時、菓は唐穂の胸を貫く日本刀を見てしまう。唐穂もまた「呪受者」だったのだ。それを知った菓はどうにかして彼女の心をひらこうと行動を開始する。一方、小鳩の兄・倭もまた唐穂の呪に目をつけて、ひっそりと動き出そうとしていた。
 鳥は鳥であるために、その3冊目です。2巻はちょっと違和感が多くて個人的に合わなかったのですが、この3巻は普通に面白かったですね。相変わらず主人公が影薄いですが(笑)。
 今回はなんといっても菓が良かったですね。転校してきた唐穂は「呪受者」で、同じく「呪受者」である兄の志朗や小鳩を知っていた菓としてはほっとけなかったんでしょうね。それに過去に一度哀しい経験をしているのもあったんではないかと。まあ、それはともかく 唐穂の心をひらこうと一生懸命になる菓が凄く良かったですね。持ち前のバイタリティと行動力でガシガシと進んでいく姿は読んでいて応援したくなります。
 一方で作品通してのメインである倭探しの方も、倭側に動きがありました。個人的には倭に協力している水戸先生の心情が良かったですね。倭にとって最重要なのは妹の小鳩のことだけということを知りつつも、協力者として倭の傍にいるというのは結構複雑な心境なんだろうな〜とか思ったり。
 それはそうとお寿司を食べているあたりのシーンが好きだったりします。メイドの夕香のとった行動とかも良かったのですが、なによりお寿司を食べている時の描写が好きですね。トロおいしそうだ。
 まとめ。菓と唐穂の交流のありようがなかなか良かったですね。また倭関連の方でも最後に結構大きな動きがあり、変化もあったので、次の最終巻が楽しみです。
 印象に残った台詞(以下反転)――「にゃ」――小鳩の台詞。って、これだけじゃちょっと意味不明ですね(苦笑)。記念撮影の最中猫耳をつけた小鳩がこっそりといった一言です。なんか可愛い(笑)。こういうことができるようになったという変化も、きっと志朗たちの影響なんですよね。