カッティング

カッティング 翅田大介

カッティング ~Case of Mio~ (HJ文庫 は 1-1-1)

カッティング ~Case of Mio~ (HJ文庫 は 1-1-1)

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 高校生になったばかりの相坂カズヤは、同じクラスになった美しい少女西周(にしあまね)ミオと出会った。重度のリストカッターであるミオ。そんな彼女にどうしようもなく惹かれたカズヤは交際を申し込み、2人は付き合うこととなった。静かな日常の中でしだいに心をひらいていくミオ。しかし、ある日 彼女は通り魔事件によって殺されてしまい・・・・。
 自身の行動と思考が一致しないことに違和感を持つ少年カズヤと、リストカッターであるミオの物語、『カッティング』です。
 で、早速感想。これはとても面白かったですね。序盤こそカズヤが思い悩む性質に戸惑ったりしましたが、それ以外はとても良かった。なんといっても主役であるカズヤとミオが素敵です。付き合うといっても最初は隣で黙々と本を読んでいるだけというなんともクールな感じが印象的です。そんな2人が徐々に打ち解けていく様は読んでいて温かい気持ちになります。また、作品全体がどこか淡白で、その雰囲気が好感触でした。
 なぜミオがリストカットに依存するのかという点に関してもきちんとした理由付けがなされていたので良かったですね。なんとなくだけど気持ちが分かる気がします。
 まとめ。カズヤとミオの交流が素敵な作品。激しいところはないけど、どこか落ち着いた雰囲気で、読み終えたあと暖かい気持ちにさせます。続きが出てもおかしくはなさそうなので、期待したいです。