黒猫の愛読書

黒猫の愛読書 Ⅰ隠された闇の系譜(ジェネオロジー

☆☆☆☆
 読書が趣味の内気な少女・紙村綴。彼女には<本の声>が聞けるという特殊能力があった。ある日、綴は本の探偵を名乗る青年・猫目コウと出合う。彼は謎の本「N断章」の調査に、綴の特殊能力を貸してほしいという。一方、綴は綴りで「嵐が丘」という本の行方を探していた。
 第12回スニーカー大賞優秀賞受賞作『黒猫の愛読書』です。では、感想。これは、悪くはなかったのですが、どうも好みではなかったです。
 どうにも登場人物が好きになれたかったですね。とくに主人公の綴。彼女は本だけが友達のちょっと暗めな少女なのですが、他人を信頼できないとかいいながら、普通の高校生活に憧れているというちょっと矛盾を持っている女の子。で、個人的にはそこらへんの部分が合わなかったですね。もちろん矛盾を抱えていること自体は全然問題ないのですが、文章の上ではもうすこし整然としていてほしかったです。なんだかすっきりしないようなモヤモヤ感が付きまとっていました。
 逆に好印象だったのが編定寺さん。そのファンキーな性格がけっこう好きだったりします。
 まとめ。本の声が聞こえるという設定がわりと印象的だったのですが、ちょっと自分の好みとは違っていました。