鋼殻のレギオス

鋼殻のレギオス 雨木シュウスケ 

☆☆☆☆☆☆
 人類がその大地の恩恵から見放された世界・・・。そこでは異形の汚染獣達が地上を闊歩しており、人類は都市自体が意志をもち移動する自立型移動都市<レギオス>のなかでのみ安寧を得ていた。その中の一つ、学生のみで構成された学園都市ツェルニに一人の少年が入学することになる。少年の名前はレイフォン。少年はとある理由から戦うことを棄て、新たな生活を望んでいた。しかし生徒会長であるカリアンにその才能を見抜かれ、一般科から武芸科へと転科することになってしまい・・・。 
 これはなかなか面白いですね。強い力を持っているけど、とある理由から戦うことを棄てた少年の物語。レイフォンが戦いを拒否する理由を所々に散りばめながら、魅力的なキャラクター達が物語を盛り上げてくれます。特に最重要ともいえるニーナの存在が良かったです。どこまでも誇り高い少女って感じでしょうか。
 この作品、やっぱり見所はレイフォンの葛藤かと。もう戦わないと決めた。だけど、都市の置かれている立場や、現状がレイフォンに戦うことを求める。そんな状況の中で悶々と悩みながらも決意をしていく。その過程が丁寧に描かれていたと思います。
 この作品、レイフォンがあまりにも強すぎなので、これから話がどう展開していくのか気になります。個人的にはレイフォン級の人々がたくさん出てくるお話にはなってほしくないですね。ともかく続きが楽しみです。