皇帝ペンギンが翔んだ空

皇帝ペンギンが翔んだ空 祭紀りゅーじ

皇帝ペンギンが翔んだ空 (電撃文庫)

皇帝ペンギンが翔んだ空 (電撃文庫)

☆☆☆☆☆☆
 もと不良少女だったリーゼロッテは、現在は純白の古城『白鳥城』の管理人として働いていた。心優しき住人や、城に居座る幽霊たちに囲まれてリーゼロッテの一日は過ぎていく。そんなある日、孤児院で一緒に育った少女ヨハンナが突然この町へとやってきた。どうやら彼女はなんらかのトラブルに巻き込まれているらしく――。 
 もともと電撃hpで連載していたネタで、今回のはそれのリニューアルバージョンで、新シリーズみたいなものとのことです。
 で、早速感想。これはなかなか面白かったですね。元気溢れるリーゼロッテや、城に居座る幽霊たちなど、登場人物達のやりとりが楽しかった。
 序盤はわりとほのぼのとしていて、城の中で飛び回って少年たちとドタバタやっていたりと楽しさが前面に出ている感じだったかと。一方で中盤、終盤にさしかかってからはヨハンナの件も関係して雰囲気が一変しましたね。なんというかヨハンナの行動が見ていてもどかしい。「ああ!もっと素直になれよーーー」とか心の中で叫んでいたり(笑)。
 それはそうとマルガレーテさんが素敵ですね。物事に動ぜずにリーゼロッテたちを温かく見守っている様子が目に浮かぶようです。また、終盤では只者ではないところも見せてくれて、とても格好よかったです。
 まとめ。ほのぼのとして序盤、一変してシリアスな中盤、終盤と最後まで楽しめた作品。読んだあと温かくなれるお話だったかと。あとがきで「新シリーズみたいな」って書いてあるってことは続きもでるってことなんでしょうか。だとしたら続きも楽しみです。
 印象に残った台詞(以下反転)――「――前略――おまえは本気でこの私を怒らせたいようだな」――マルガレーテさんさんの台詞。詳しくは書きませんがこのあたりのやり取りが凄く印象に残りました。背中が電気が奔りました。