ゴールドベルク変奏曲

ゴールドベルク変奏曲 五代ゆう

ゴールドベルグ変奏曲 (HJ文庫)

ゴールドベルグ変奏曲 (HJ文庫)

 旋律が視覚に影響を及ぼし、人々にひと時の安らぎを与える。それが<幻奏>能力者の力だった。オルガ・リーベルセンはそんな<幻奏>能力者の一人である。 ゴールドベルク。それはあまたの惑星の中でも、芸術に特化した芸術家達が集う惑星。そのゴールドベルクでひとつの事件が起きた。惑星を挙げての祭典「星界音楽祭」が目前に迫り、人で溢れているこの星で至高の奏者・文殊が何ものかによって殺害されたのだ。そしてこの事件はオルガを一人の男と出会わせる。その男の名は普賢(フ・ゲン)。事件を聞きつけ調査に来た監察官だった。
 五代ゆう先生がデビュー作以前に書いていた作品とのことです。表紙とかだけだと、どういったお話かわからなかったので、いきなり宇宙とか出た時はびっくりしました(笑)。それはそうと感想。なかなか面白かったですね。
 自分に自信を持てないオルガが、心を殺し監察官として冷徹に行動する普賢(フ・ゲン)との出会いを経てお互いに影響しあっていく過程が良かったです。また、この二人のほかにも刑事のキースが印象的でした。普賢(フ・ゲン)と組んで事件を追っていくのですが、その時のやり取りが結構好きですね。なんていうか渋い魅力のある人物かと。
 事件について。最初に起こった事件の調査から、少しずつ意外な方向へと展開していくストーリーが良かった。<幻奏>という設定が活きていたように思います。
 まとめ。普賢(フ・ゲン)とキースの捜査や、オルガとの交流の描かれ方が面白いと感じた作品でした。