円環少女4

円環少女 サークリットガール④よるべなき鉄槌 長谷敏司 角川スニーカー文庫 2006年11月1日

円環少女 (4) よるべなき鉄槌 (角川スニーカー文庫)

円環少女 (4) よるべなき鉄槌 (角川スニーカー文庫)

☆☆☆☆☆☆
 先の戦いにより所有する刻印魔導師の3分の1を失った《公館》。十崎京香は事後処理に追われ、その間 居候のメイゼルときずなは仁の家へとやってきていた。仕事の合間のほんのひと時の団欒に安らぎを覚える仁。そんな時、それはやってきた。蛍のように発行する魔法構造体。その正体とは――。そして仁は思い出す。かつて妹と過ごしたあの日々を・・・・・・・。
 円環少女、その4冊目です。今回もなかなか面白かったです。前回が前回だけに、今回は割と緩やかな物語でした。序盤だけだけど(笑)。まず最初に思ったのはやっぱりメイゼル。相変わらずサディスティックな魅力で仁もタジタジな様子ですね(笑)。ただ、今回はそれよりも、仁に隠し事をされていることを嫌う彼女のすべてを共有したいって気持ちが印象的でした。なんというか我儘とはちょっと違うのだけどこの少女らしい考え方だな〜って思ったりしました。
 それはそうと 今回は仁の過去、とりわけ妹の舞花のことが明らかになりましたね。結構切ない内容でした。兄妹二人の暮らし。その能力により少しずつ変わっていく舞花。そんな妹を見て仁が抱える不安。それがすごく伝わってきました。
 あとエレオノール。深くは書きませんが、彼女の不器用さは見ていて痛々しいですね。特に終盤は印象的でした。
 まとめ。序盤はほのぼのとした展開、後半は怒涛のバトルと、それぞれ楽しめた作品。結構さきが気になる終わり方なので続きが楽しみです。
 印象に残った会話(以下反転)――「かわりに三合地下壕を案内しろとか無茶は言うなよ」「・・・・・・・・・・・・かわりに、・・・・・・私の仕事も、・・・・・・して」――仁と瑞希の会話。実は方向音痴だった瑞希。仁の予想を遥かに超える言いようがちょっと笑えた。でも、なんか彼女らしいかもとか思ったりも(笑)。