神聖のレジスタ

神聖のレジスタ リリーアの子どもたち 北山大詩 富士見ファンタジア文庫 2008年5月25日

☆☆☆☆
 子どもたちは思春期を迎えるころに覚醒し、自分だけの神・オールト様を見る――。 オルフェイス神学校に通う汐月誠人は、いまだに覚醒していない落ちこぼれの生徒だった。彼は優等生のレンと共に今日も学校をサボっていた。そんなある日、誠人宛に郵便物が届く。時間がなく受け取りが出来なかった誠人だが、この郵便物が誠人を運命を変えるものだったとは知るよしもなかった。
 『エクスプローラ』の著者北山大詩先生の初富士見ファンタジア文庫作品『神聖のレジスタ』です。では、感想。これは全体的に悪くはなかったのですが、どうも自分の好みとは少し違ったようです。
 まず、印象的だったのが世界観ですね。覚醒するとその人だけの神様が見えるというのはちょっと新鮮でした。まあ、展開上はそのことよりも、さらにその先にある特殊能力に重点が置かれていた感じがします。
 ストーリーは、記憶を失った主人公が、大きな陰謀に巻き込まれていくというものだったかと。個人的には、巻き込まれはしたものの、主人公がどこか蚊帳の外だったのが気になりました。また、色々な組織の思惑が絡んでいる展開は好みなのですが、謎がほとんど謎のまま残っているので、いまひとつすっきりしなかったです。 
 そういえば、最後のあの展開(以下反転・ネタバレです――誠人のオールト様が、神の存在にある種の疑問を抱いていたレンだったということ)に皮肉を感じるのは、自分が捻くれているからでしょうか(苦笑)。
 まとめ。悪くはなかったのですが、自分の好みとはずれていた作品。ただ、色々な組織の思惑や、主人公たちの謎が気になるので、もうしばらく追っていくつもりです。