人類は衰退しました

人類は衰退しました 田中ロミオ ガガガ文庫 2007年5月29日

人類は衰退しました 1 (ガガガ文庫)

人類は衰退しました 1 (ガガガ文庫)

☆☆☆☆
 かつて繁栄を迎えていた人類が衰退してから数世紀。いまや地球は小さな妖精たちが新人類として君臨していた。そんな妖精たちと人間の間を取り持つ調停官になった゜私゜は、早速妖精たちに挨拶に行ったのだが・・・。
 ガガガ文庫の創刊ラインナップの作品、「人類は衰退しました」です。で、早速感想。これはなかなか面白いと感じる部分もあったのだけど、どうにも乗り切れない、そんな感じの作品でした。
 まず面白かったと思ったのは会話文。主人公である゜私゜と小さな妖精さんたちのやり取りが楽しくて、テンポよくすすむ会話がいい感じでした。また、妖精さんたちもコミカルで和みます。 
 では、何が合わなかったのか。実は自分でもイマイチ分かっていないのですが、とりあえず幾つか思ったことを挙げてみます。
 第1に、全体的にまったりとして和む雰囲気の中に、実は結構毒にみたいなのが見え隠れしているように感じたということ。アイロニーというのでしょうか、なんというか実は社会風刺的な作品なんじゃやないだろうかと感じさせられる部分があったように思えました。もちろんそれが悪いというわけではないですが、自分にはどうも好印象に受け取ることができなかったようです。
 第2として、主人公である゜私゜の性格が合わなかったこと。楽だからこの仕事を選んだみたいなノリに共感できなかった。いや、逆ですね。むしろ共感しすぎてしまって、これはまずいだろうと(笑)。とはいえ、これは最初にちょっと違和感として感じていただけで、じっさいは゜私゜の持つ神経の図太さみたいのは結構好きだったりします。
 まとめ。゜私゜と妖精たちの交流が楽しかった作品。ただ。どこか皮肉を感じさせる作風が自分には合わなかったみたいです。