星界の戦旗Ⅱ

星界の戦旗Ⅱ 守るべきもの 森岡浩之 ハヤカワ文庫 1998年8月31日

星界の戦旗〈2〉守るべきもの (ハヤカワ文庫)

星界の戦旗〈2〉守るべきもの (ハヤカワ文庫)

☆☆☆☆☆☆
 幻炎作戦により圧倒的勝利をおさめた帝国は、<人類統合体>の残存艦隊の追撃のため狩人作戦を開始した。一方、またもや領主代行を命じられたラフィールは、ジントとともに惑星ロブナスⅡへと向かう。しかしその惑星は――。
 『星界の戦旗』その2冊目です。今回もなかなか面白かったですね。前回よりラフィールとジントがより主役っぽい感じです。
 今回はあらたに帝国の支配下になったロブナス星系が中心舞台のお話です。まず面白いと思ったのが、帝国にとってこの惑星はとりわけ重要でもなんでもないということですね。うっかりと勝利してしまったが為に、不本意でもなんでも管理しないわけにはいかないという状況がなんともアーブらしい(笑)。
 で、この惑星の領主代行にラフィールが、領主副代表にジントが選ばれるわけですが、ロブナスⅡは実は惑星丸ごと刑務所だったということ明らかになったり、いきなり4人の領民代表候補があらわれたりとなかなか混沌とした状況が展開されます。
 そんな感じで、4人の領民代表がいたり、内乱の危機に陥っていたりと、なかなか大変な状況の中にジントたちは向かうわけですが、その展開が面白かったですね。一応支配者側なのになぜか惑星側からあれこれと要望を出されるジントとか、私こそ領民代表だと何度もかかってくる通信にうんざりするラフィールとか、その苦労が伺えます。
 また、今回は1巻以上にジントとラフィールの関係に焦点があたっていたのが印象的ですね。とりわけ惑星で起こった内乱にジントが巻き込まれてからの展開が良かった。ラフィールの心情が伝わってきます。そして何よりラストが素敵でした。次はいよいよジントの生まれ故郷での話になりそうです。たのしみ。