星界の戦旗Ⅲ

星界の戦旗 Ⅲ家族の食卓 森岡浩之 ハヤカワ文庫 2001年3月15日

星界の戦旗〈3〉家族の食卓 (ハヤカワ文庫JA)

星界の戦旗〈3〉家族の食卓 (ハヤカワ文庫JA)

☆☆☆☆☆☆
 ジントとラフィールは、ジントの故郷マーティンがあるハイド星系に向かっていた。<三カ国連合>が撤退したことにより、帝国領へと復帰した星系を正式に統治するためだった。ところが、惑星マーティンの領民政府は、帝国への帰属を頑なに拒んでおり――。一方、帝国では、新たな艦種襲撃艦の演習が行われようとしていた。そして、艦隊はその演習場所であるハイド星系へと向かっていた。
 『星界の戦旗』その3冊目。今回はジントの故郷マーティンがあるハイド星系を舞台にしたお話です。では、さっそく感想。今回もなかなか面白かったですね。故郷に対するジントの心情が印象的でした。
 今回のメインはジントの故郷である惑星マーティンのことではあるのですが、ほとんどマーティンの政府の内部は描かれていなかったですね。ジントとマーティン領民政府とのアレコレが中心となるのかと思っていたので、ちょっと意外でした。
 とはいえ それが悪いということはもちろんなくて、むしろ、いきなり帝国の演習の舞台へとされてしまう展開が印象的でした。マーティン側がいまだに帝国に対して帰順していない状態での演習に、不安を感じているジントの心情が伝わってきました。 
 それはそうと、相変わらず魅力的な登場人物たちですが、今回はとりわけジントの元同僚のエクリュアが良かったですね。彼女の隠された一面がなかなか素敵でした(笑)。
 マーティン領民政府とジントとのやり取りが、とくに多くあったということはなかったのですが、それでも最後の「食卓」が良かったですね。色々とジントの心情が想像できます。
 今回で「ディアーホ三部作(ジントの飼っている猫の話がちょこちょことあるのです)」なるものは完結とのことですが、「星界の戦旗」はまだ続くとのこと。面白い作品なので、折をみて読んでいきたいです