世界樹の迷宮

世界樹の迷宮〜去りゆくモノへの鎮魂歌〜 嬉野秋彦 ファミ通文庫 2007年12月12日

☆☆☆☆☆
 <世界樹の迷宮>に臨む冒険者で賑わう街エトリア。そんな街で冒険者をやっている女レンジャーのゼノビアとその仲間たちは、迷宮で仲間のパラメディックを失ってしまう。仲間を失った悲しみを感じながらも、これからのことを考えるゼノビア。その目に留まったのは、酒場で給仕をやっていた1人の少年だった。ゼノビアはその少年―カミル―にバードとして自分達の仲間にならないかと持ちかける。
 どこか懐かしさを感じさせる作りで話題を呼んだゲーム「世界樹の迷宮」のノベライズです。著者は『虎は躍り、龍は微笑む』の嬉野秋彦先生です。
 さて、早速感想。これはまずまずな面白さでした。女レンジャーのゼノビアや、過去に迷宮で兄を失ったことで心に傷を抱える少年カミル、同じように過去の経験から変わり果ててしまったパラディンのフェイゲンの3人がメインのお話だったかと。個性的なメンバーを抱えるPTのリーダーであるゼノビアが、気苦労が絶えなくて大変そうでした。 
 このメインの3人を含め登場人物たちのやり取りがなかなか良かったですね。ちょっとしたやり取りが「なんだか良いなー」と感じられます。個人的には皮肉屋なところがあるけど、なんだかんだでカミル(もしくは他のメンバー)を気にかけているアルケミストバルサスが好きですね。 
 今回で、ひとつのお話としては綺麗に終わっていますが、続きが出てもおかしくはないですね。なので、もし次があるならそちらも読んでみたいです。