ソウル・アンダーテイカー 中村恵里加 電撃文庫 2005年2月25日
- 作者: 中村恵里加,洒乃渉
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2005/02
- メディア: 文庫
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これは面白いですね〜。まず主人公について。周りから馬鹿呼ばわりされて、妹からは忌嫌われ、先生にも怒られてばかりの比呂緒。こうやって書くとかなり悲惨な状態のような気がしますが、実際はそうでもない様子。その理由は、読んでいて比呂緒は馬鹿だけど良い子であるという事が伝わってくることと、なおかつ本人がのほほ〜んとしているのが悲惨さを打ち消しているからかと。また、時折みせるどこか達観したような台詞が印象的です。不思議な魅力を持っている人物だと思います。
あと、主人公以外のキャラクター達も魅力的だと思います。個人的には比呂緒の両親が良かった。脇役キャラクター達の、それぞれ比呂に対して秘めている内心にスポットライトが当てられているのがいい感じです。
ストーリについて。比呂緒と運命的な出会いをはたすことになる使い魔―ハンニバルや三島蒼儀。彼らと比呂緒の掛け合いが良かった。物覚えの悪い比呂緒に振りまわされる二人がちょっと笑えた(笑)。
最後に思ったことを。この作品、キャラクター達の感情の動きなどを、直接的な描かれ方ではなく、雰囲気で描いている印象がありました。それが自分的には好感触でした。
印象に残った台詞、ではないですが(以下反転)―だが、『お父さん』以外になにか良い呼び方があるだろうか。この少年に「私は江藤英士だ、英士と読んでくれたまえ」などというわけにもいかない。―比呂緒の父親こと江藤英士の葛藤(?)。比呂緒に会いにきた蒼儀に「比呂緒さんのお父さん」と言われてしまった英士。その時の反応の一部。いや〜なんというか親心というやつでしょうか(笑)。複雑な心境を表しているかと。つい読んでいて笑ってしまいました。このお父さん好きですね〜。