そらいろな

そらいろな 一色銀河 電撃文庫 2008年1月25日

そらいろな (電撃文庫)

そらいろな (電撃文庫)

☆☆☆☆☆☆
 白河祐樹は中学野球でナンバーワンサウスポーと呼ばれていたが、ひじを故障してしまい野球強豪高校へ入学することができなかった。それでも、唯一誘ってくれた高校で再起を図ろうと決めた祐樹だったが、そこの野球部はメイド服の少女がマネージャ謙監督というとんでもないところだった。その野球部の姿に失望した祐樹はメイド服の少女・美原天音の勧誘を断り続けるが・・・。
 ひじを故障してしまい それでも夢を諦めきれない少年と、たった1人で野球部を作りあげ自らその監督を務める少女の物語『そらいろな』です。で、早速感想。これはなかなか面白かったですね。なぜかメイド服な少女が出てきたりしますが、中身は良質なスポ根でした。
 メイン登場人物の2人が良かったですね。まず祐樹。かつてナンバー1サウスポーと呼ばれながらも、ひじを壊してしまった祐樹。そんな彼が目の当たりにした高校の野球部に失望し勧誘を断りつづける姿が印象的ですね。天音の勧誘で揺れる祐樹心情がしっかりと描かれていて、だからこそ頑なな祐樹の態度は読んでいてすごくもどかしい。
 そして、そんな祐樹をどうにかして勧誘しようと奮闘する天音も良かったですね。その一途のなまでの行動から、野球に対する熱い思いが伝わってきます。
 終盤の試合展開も面白かったです。野球らしい機微も描かれての試合は読んでいて胸が熱くなります。読んでいてゾクゾクすることもあったり。
 まとめ。良質な青春スポ根ものとして十分楽しめた作品。続きがでるのが楽しみです。