空トブ人ビト

空トブ人ビト 青イロ発光ウサギ 三上康明 集英社スーパーダッシュ文庫 2007年11月30日

空トブ人ビト 青イロ発光ウサギ (空トブ人ビトシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

空トブ人ビト 青イロ発光ウサギ (空トブ人ビトシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

☆☆☆☆☆☆
 二人で両翼に乗る特殊な航空機「ラビット」。ハルタは相棒のルパーと共に「ラビット」に乗って依頼品を配る『通信士』だった。ある日、ハルタたちが暮らす輪土王国に、武装した商談「ギガント」がやってきた。彼らは王国に国宝を渡すよう要求する。一方、宛先不明の荷物を持っていたハルタは、その荷物を盗まれてしまう。たまたま近くにいたサヤと共に荷物を追いかけるハルタ。そして――。
 「ラビット」に乗って荷物を届ける『通信士』のハルタと仲間たちの物語『空トブ人ビト』です。これはなかなか面白かったですね。ハルタ、ルパー、サヤの3人が主役の青春物語といった感じだったかと。
 なんといっても主役の3人が良かったですね。仲のいい3人なんだけど、その心情には色々と複雑なものを抱えている・・・・そんな感じだったかと。とりわけ印象的だったのはルパーの心情ですね。優秀で将来有望な彼は、ハルタの操縦についていける唯一ともいえる相棒なのですが、そんな彼の心の奥底にはハルタのに対する消せない嫉妬を抱いている。それが印象的でした。
 ストーリーも良かったですね。ちょっとしたすれ違いや誤解から思わぬ方向へと進んでいく展開が面白く、最後まで一気に読めました。なかでもハルタたち3人の関係についてのことは なんともやりきれない気持ちにさせられます。それでも3人の絆を感じさせるラストはすごく良かったです。
 シリーズモノとのことで今後の展開が楽しみです。
 印象に残った文言?(以下反転)――「―我ら、かけがえのない両翼であらん」「―ともに、飛び続けることを誓おう」――台詞ではなくて「ラビット」乗りの間で交わされるサインです。なんというか、すごく格好いい言葉(ではないけど)だと思った。素敵です。