付喪堂骨董店2

付喪堂骨董店2 不思議取り扱います 御堂彰彦 電撃文庫 2007年6月25日

付喪堂骨董店〈2〉―“不思議”取り扱います (電撃文庫)

付喪堂骨董店〈2〉―“不思議”取り扱います (電撃文庫)

☆☆☆☆☆☆
 それはアンティークと呼ばれていた。不思議な力を持つ器物。その力、形は様々で、その存在を知る人々はそれに飛びつく。しかし。便利なものほど注意が必要だ。なぜなら――それは使い方を誤ればたちまち自身にとって良くない結果をもたらすのだから・・・・・・。
 と、いうわけで 不思議な器物アンティークをめぐる物語「付喪堂骨董店」その2巻です。今回もなかなか面白かったですね。全4編から成る短編なのですが、今回もどこか淡々とした雰囲気で、それが素敵でした。以下それぞれ簡単に感想を。
 第1章「静寂」・・・映した世界の音を消し去ってしまう鏡のお話。なかなか切ないですね。それが不利益をもたらすと指摘されてもそう簡単に納得できないのが人間なんだろうなと感じたお話でした。
 第2章「自分」・・・被した物が自分の分身になるという仮面の話。コピー人間って便利だなーとか思いつつ読んでいたのですが、やっぱり最後はそういう展開になるのか。うん、努力は大切です(笑)。
 第3章「死目」・・・人の目に映ったものを覗き見ることができるアンティークの話。それと、刻也の義眼に興味を持った占い師との攻防の話でもあるかと。狂気を宿した占い師がなかなか怖いですね。また、咲についても秘密の一端のさらに一端くらいが仄めかされていたかと。
 第4章「化粧」・・・1巻の4章同様 咲がメインのお話。普段無表情な少女の内面の感情がとっても印象的です。また、その行動も面白い。読んでいてすごく楽しかったです。
 まとめ。コンパクトにまとまったお話と魅力的なキャラクターで最後まで楽しめた作品。特にキャラクターでは刻也と咲の2人が良かったですね。自身のアンティークの影響もあってか自分がみた運命(ヴィジョン)を変えようと必死になる刻也と、無表情で不器用だけど実は刻也のことをよく分かっている咲。この2人の存在が作品を盛り上げていると思います。続きも楽しみです。 
 印象に残った台詞(以下反転)――「あの『アンティーク』に関わると、つまらない冗談を言いたくなるのか?」――都和子さんの台詞。3章で目を狙われた刻也と、それに続いて咲までが目にまつわる冗談を言ったのを聞いての突っ込み。なんというか、それまでの流れもあってかすごくツボでした。