扉の外

扉の外　土橋真二郎　電撃文庫　2007年2月25日

扉の外 (電撃文庫)

☆☆☆☆
　気がついたらクラスメイト全員が密室に閉じ込められていた。突然の異常事態に困惑する生徒たち。そんな彼らの前に現われた人工知能ソフィアは言う。唯一絶対のルール――ソフィアに従うこと――を守る者は安全を保障されると・・・・・・。4組の紀之は、そんなソフィアの提案を、一人 嫌悪感から拒否してしまう。そして、奇妙な集団生活が始まり――。
　第13回電撃小説大賞＜金賞＞受賞作です。突然クラスメイトが密室に閉じ込められ、奇妙なサバイバル生活を始めるというお話です。う〜ん、これは正直合わなかったですね。中盤は「おお！」と思う部分も結構あったのですが、どうにも序盤、終盤がダメでした。
　まず、なんといっても主人公。率直にいってこの主人公嫌いです。どうにもその性格が好きになれなかったですね。歪な優越感とでも言うのでしょうか、なんともグダグダな感じです。もちろん、そういう感情そのものを否定するつもりはないのですが、ただ、あそこまで露骨に表されるのは少ししんどかったかなと。
　そんなわけで、主人公がどうにもダメだったので、これは微妙かなーとか思っていたのですが、中盤の展開はなかなかよかったですね。すこしずつ緊迫していくなかでの緊張感とでもいうのでしょうか、そういう中での人間関係が結構面白かったです。
　ただ。割と面白かった中盤も、ラストの展開でその面白さが霧散してしまった感じ。なんというか中途半端で、もう少し違った終わり方でもよかったのではと思ってしまいました。そんな感じでどうにも自分には合わない作品でした。