虎は躍り、龍は微笑む(3)

虎は躍り、龍は微笑む 落日の賊、曉星の誌 嬉野秋彦 ファミ通文庫 2008年1月4日

☆☆☆☆☆☆
 ルルチェとの戦いに辛くも勝利したコハク。しかし、コハクと同じ色の瞳をもつ彼女が告げた真実に、コハクは一人思い悩んでいた。そんなコハクを心配するリュードだったが、彼の元に帝国副宰相の魔の手が伸びる。果たしてリュードに隠された秘密とは――。一方、脱獄したルルチェはある目的のために軍勢を集めていた。
 コハクとリュードの活躍が描かれる『虎は躍り、龍は微笑む』その3冊目にして、最終巻です。では、さっそく感想。今回もなかなか面白かったですね。予想していたよりも事態が大きくなっていたのが驚きでした。
 相変わらずコハクとリュードの友情は読んでいて気持ちの良いものですね。特に今回はリュードにとって、コハクの存在がどれほど大きいものかが分かる話でもあったかと。自分の出生の秘密を知ってしまった時のコハクとのやり取りが印象的でした。
 ストーリーは、意外なほど大きな展開になっていたかと。コハクの秘密にリュードの秘密、さらにルルチェの行動(以下一応反転――帝国への侵攻)と、まさに怒涛の展開だったかと。とりわけ最後の戦いが熱くてよかったです。
 まとめ。シリーズ通してコハクとリュードの友情が素敵な作品。また、今回、コハクたちの置かれている状況はあまりいいものではないのですが、それでも明るい未来を感じさせる終わり方が印象的でした。面白かったです。