虚攻の戦士

虚攻の戦士 『ナツ』ノキオク 神野オキナ

 万物の情報を吸収し、最終的に世界を吸収しようとする存在「集積者」。その集積者の尖兵にあたる「端末」。端末と戦えるのは特別な存在である―式者のみであった。さえないデブオタ少年三隅舞矢はそんな式者の一人。彼は幼馴染の少女―古鳳翔夏―との生活を守るために戦い続ける・・・。
 え〜と、大切な日常を護るために戦うお話。なかなか面白いです。主人公の舞矢は設定上デブオタ少年ですが、読んだ感じでは普通の好青年といった感じ。また、舞矢の日常でのぼけーとした態度と、いざ事件が起きた時の違いが印象的。
 ストーリ展開は割とシンプルです。平和な日常を送っていた舞矢と翔夏の学校に転校生がやってきて、日常が少しずつ変わっていく・・といった感じ。個人的には舞矢とそのパートーナーである「装者」―霧音との掛け合いが良かった。
 全体的にもう少し詳しい説明をしてほしいな〜いう部分は幾つかありましたが、なかなか楽しめる作品でした。ただ、普段はデブオタ少年を演じている舞矢が、その演じている日常を大切に思っていることは分かるのですが、それに関連してもうすこし舞矢の内心を描いてほしかったな〜というのが本音。なので、次巻とかでその辺が描かれないかな〜とか期待してみたり。
 印象的な台詞(以下反転)―「・・・・・・・・・・・・切れちゃった」―霧音のセリフ。最初の登場から冷静でクールな印象があったのでこのセリフには仰天(笑)。このセリフで彼女に対しての印象ががらっとかわって、物語がより深くなっていったかと。