断章のグリムⅢ

断章のグリムⅢ 人魚姫(上) 甲田学人 電撃文庫 2006年12月25日

☆☆☆☆☆☆☆
 泡禍解決の依頼を受けて、蒼衣たちはかつて神狩屋が暮らしていたという町へとやってきた。町中を満たす泡禍の匂いのなか、蒼衣たちが出会ったのは神狩屋の婚約者だった女性の妹・千恵。極度の潔癖症である千恵の家は、彼女が使う石鹸の泡で覆われていた。そして――。
 相変わらずジワジワとにじり寄ってくる感じの恐怖が癖になる作品「断章のグリム」3冊目です。今回は上下巻の上巻ということで続きものですが、十分に面白かったです。
 今回のモチーフは『人魚姫』。実をいうと私は『人魚姫』って一度も読んだことないんですよね(苦笑)。なので最後は泡になるぐらいしか知らなかったりします。
 今回は神狩屋の過去が大きく関わってきます。実は婚約者がいた神狩屋さん。しかも彼女の死は<泡禍>に関係していたということ。まだ、明らかになってはいないけど、このあたりの事は下巻(実は上、中、下巻構成だったりしませんよね?)に期待したいです。 
 それはそうとなんかいつも以上に描写が凄かった感じです。てか、あまりに生々しくて鳥肌がたちましたよ(苦笑)。
 まとめ。淡々と描かれる恐怖の描写が印象的な作品。個人的には蒼衣、雪乃、風乃の掛け合いが好きだったりします。なんというか3人(?)のアンバランスさが好きですね。凄絶なところで終わっているので、続きも楽しみに待ちたいと思います。