クジラのソラ01

クジラのソラ01 瀬尾つかさ

クジラのソラ 01 (富士見ファンタジア文庫)

クジラのソラ 01 (富士見ファンタジア文庫)

☆☆☆☆☆☆☆
 人類が圧倒的な戦力を有する異性人に全面降伏してから10年。彼らが人類に課したのは<ゲーム>と呼ばれるシステムだった。人類では及びもしない技術を用いたソレに人々は大いに熱狂した。雫は、かつて<ゲーム>のWG優勝者として、宇宙へと旅立った兄を追い、自らも<ゲーム>の道へと進んでいた。チームメイトを一人欠いたことから参加資格を失ってしまった雫は、伝説のメカニックと呼ばれた聖一を自分のチーム<ジュライ>へ引き抜こうと奮闘。雫の誘いを頑なに拒む聖一だったが、ある日彼女にひとつの提案をする――。
 デビュー作である「琥珀の心臓」が面白かったので、とても期待していた作品。で、読んでみて期待を裏切らない面白さでした。
 まず<ゲーム>の設定が面白かったですね。作りだされた小宇宙を舞台に艦隊戦といった感じでしょうか。また、その描写がとても緻密でワクワクしながら読めました。
 ストーリーについては、雫をはじめとした登場人物たちの交流が印象的です。認め合い、ぶつかりあい、ひとつの目標に向って頑張る姿はとても気持ちがいいです。特に、見せ付けられた現実の中で、悩みながらも成長していく雫の姿が良かったです。また、聖一もいい感じですね。なんだかんだで一番雫と似ているような気がします。お互い考えるタイプなんですよね、きっと。この二人の掛け合いが結構好きだったりします。 
 まとめ。<ゲーム>そのものや、登場人物たちの交流、そして勝負の行方など、色々な面で楽しめて最後まで一気に読めた作品。まだまだ明かされていない謎や思惑があるので、それらが今後どう明らかにされていくのかとても楽しみです。